この記事を読んでいるあなたは、かつての私と同じように、競馬で作った借金のことで頭がいっぱいになり、夜も眠れないほどの不安と絶望に押しつぶされそうになっているのかもしれません。
私も数年前までは「もう人生は終わりだ」「どう頑張っても好転するわけがない」と本気で思い込み、ただただ過ぎていく時間に恐怖していました。
しかし、正しい手順を踏んで勇気ある一歩を踏み出せば、必ずその地獄から抜け出すことができます。
この記事では、私が実際に消費者金融4社から500万円もの借金を抱えた地獄のような日々から、どのようにして立ち直り、人生を再スタートさせたのか、その具体的な体験談と実行した全てのステップを包み隠さずお話しします。
これは机上の空論や誰かから聞いた話ではありません。
私が血と涙を流しながら、もがき苦しんで歩んできた道のりの全記録です。
競馬による借金地獄の始まりと私の絶望的な毎日についての体験談
華やかなレースの裏側で、静かに、しかし確実に私の人生は崩壊を始めていました。
最初はほんの遊び心だった競馬が、いつしか私の全てを支配し、気づけば抜け出すことのできない借金の沼の奥深くまで沈んでいたのです。
ここでは、私がどのようにして競馬にのめり込み、借金地獄へと堕ちていったのか、そのリアルな過程を赤裸々にお伝えします。
週末の娯楽だった競馬が生活の中心になったきっかけの体験談
私の競馬との出会いは、多くの人がそうであるように、会社の同僚に誘われて遊びに行った東京競馬場での日本ダービーでした。
目の前を疾走するサラブレッドの筋肉の躍動、数万人の大観衆が一体となる地鳴りのような歓声、その場の空気に私は一瞬で心を奪われたのです。
そして、運命のいたずらか、初心者が直感で買った馬券が的中し、数万円の払い戻し金を手にしました。
これが全ての始まりであり、後に地獄へと続く扉を開けてしまった瞬間でした。
最初は週末に数千円を賭けるだけの健全な娯楽でしたが、一度の大的中で数十万円を手にしてから、私の金銭感覚は完全に麻痺してしまいました。
「真面目に働くより、競馬で稼ぐ方がずっと効率的だ」という、今思えば愚かとしか言いようのない甘い幻想に取り憑かれてしまったのです。
平日、仕事をしている間も頭の中は次のレースのことでいっぱいになり、上司の話も耳に入らず、スマートフォンの競馬情報サイト「netkeiba.com」を眺めては、週末のレース展開ばかりを考えていました。
もはや競馬は娯楽ではなく、私の生活そのものを支配する存在になっていたのです。
初めて消費者金融で借金をした日の記憶と競馬への依存
手元の貯金が尽きるのに、それほど時間はかかりませんでした。
しかし、一度味わった興奮と大金の味を忘れられなかった私は、ついに絶対に手を出してはいけない領域に足を踏み入れました。
近所の駅前にあった消費者金融の無人契約機です。
最初に利用したのはテレビCMでも頻繁に流れている「アコム」でした。
薄暗いブースの中で、タッチパネルの指示に従って個人情報を入力していくと、驚くほど簡単に50万円の利用限度額が設定され、その日のうちに指定した銀行口座に現金が振り込まれました。
あまりの簡単さに、「みんなこうやってお金を借りているんだ」と、自分を正当化していたのを覚えています。
そのお金を握りしめて向かったのは、もちろん場外馬券場のWINSです。
その日は大きく負けましたが、「明日、次のレースで取り返せばいい」という根拠のない自信がありました。
この日から、私の中で借金をすることへの抵抗感が完全に消え去りました。
競馬で負けた損失を、さらに大きな賭けで取り返そうとする、典型的なギャンブル依存症の思考パターンに陥り、借金地獄へのスパイラルを転がり落ちていったのです。
借金の督促電話に怯え家族や友人を避けるようになった地獄の日々
借入先は「プロミス」、「レイク」と次々に増えていき、気づけば借金総額は500万円を超えていました。
毎月の給料のほとんどは返済に消え、それでも足りずに別の消費者金融から借りて返済に充てる「自転車操業」の状態です。
これは、借金の元本は全く減らず、利息だけが雪だるま式に膨らんでいく最悪の状況です。
スマートフォンの画面に表示される知らない番号は全て督促の電話に思え、着信音が鳴るたびに心臓が縮み上がり、冷や汗が噴き出しました。
友人からの食事の誘いも「金がないから」と嘘をついて断り続け、心配してくれる実家の親からの電話にも出られない。
社会から完全に孤立し、電気もつけない薄暗い部屋に一人で閉じこもり、ただただ次のレースで人生を変える一発逆転を夢見る、そんな人間失格とも言える地獄の毎日を送っていました。
私の借金地獄の始まり
・ビギナーズラックで競馬にのめり込む
・生活費が尽き、軽い気持ちで消費者金融を利用
・借金をしてギャンブルをすることに抵抗がなくなる
・気づけば多重債務者となり、督促に怯える日々に
競馬が原因の借金地獄がもたらした人生への深刻な影響
借金は、単にお金がなくなるという表面的な問題だけではありません。
それは人間関係を根こそぎ破壊し、心と身体を蝕み、大切に築き上げてきた社会的な信用を失墜させる、人生そのものを根底から揺るがす深刻な災害です。
ここでは、競馬で作った借金が私の人生にどれほど痛ましく、深刻な影響を与えたのか、その体験談を共有します。
信頼を失った家族関係と友人たちとの決定的な断絶
最初はなんとか隠し通していた借金も、やがて隠しきれるものではなくなりました。
返済が滞り始めると、督促状が実家にまで届くようになったのです。
全てを悟った両親に問い詰められ、私は泣きながら全てを打ち明けました。
父は激怒し、母は静かに泣き崩れました。
「お前をそんな風に育てた覚えはない」という父の絞り出すような声が、今でも鋭い刃物のように胸に突き刺さっています。
あれだけ仲が良く、何でも話せる存在だった友人たちも、金の無心を繰り返すうちに一人、また一人と離れていきました。
最初は心配してくれていた友人も、私の嘘と裏切りに愛想を尽かしたのでしょう。
気づけば、私のスマートフォンの連絡先リストはただの文字列となり、私の周りには誰もいなくなっていました。
お金以上に、大切な人々の信頼という、二度と取り返しのつかないものを失ってしまったのです。
仕事のパフォーマンス低下と失職の危機に直面した体験談
借金の返済と次の競馬のレースのことばかり考えているため、仕事に全く集中できなくなりました。
会議中に上の空でいることを上司に厳しく叱責され、普段なら絶対にしないような簡単な事務作業でミスを連発する始末です。
明らかに様子がおかしい私を見て、同僚たちも距離を置くようになり、社内での居場所は日に日に狭まっていきました。
夜は督促の不安で眠れず、朝は起きられないため、遅刻や欠勤も増えていきました。
ついには、見かねた上司に会議室に呼び出され、「このままでは会社には置いておけない。君の将来のためにも、一度しっかり自分の問題と向き合った方がいい」と、事実上の最後通告を突きつけられました。
競馬の借金は、私の生活だけでなく、社会的生命すらも脅かす存在となっていたのです。
精神的に追い詰められうつ状態に陥った私の心身の変化
常に借金の返済に追われ、将来への絶望感から、私は次第に精神のバランスを大きく崩していきました。
夜は目が冴えて眠れず、かといって昼間は常に鉛のように身体が重い。
大好きだった食事も喉を通らず、何をしていても楽しいと感じることができなくなりました。
ただ漠然とした不安と、自分自身への激しい嫌悪感、そして「いっそ消えてなくなりたい」という希死念慮に苛まれる毎日でした。
ある朝、ついに布団から起き上がることすらできなくなり、見かねた母に無理やり連れていかれた心療内科で、「うつ状態」と診断されました。
競馬という名の刹那的な快楽を追い求めた結果、私が手にしたのは、生きる気力さえも奪われるほどの深刻な精神的な地獄だったのです。
私が借金地獄から抜け出すために最初に行った具体的なステップ
どん底のどん底まで落ちた私が、そこから泥水の中を這い上がるために最初に行ったこと。
それは、魔法のような一発逆転の方法を探すことではありませんでした。
これまでずっと目を背け、見ないふりをし続けてきた厳しい現実と、真正面から向き合うという、地味で、しかし最も重要な作業でした。
この章では、私の再生への第一歩となった具体的な行動についてお話しします。
全ての借金の総額と借入先をノートに書き出すという現実の直視
私がまず実行したのは、目を背け続けてきた借金の全体像を正確に把握することでした。
クローゼットの奥に隠していた全ての契約書や利用明細書を引っ張り出し、コンビニで買ってきたA4のノートに見開きで書き出していきました。
左のページには「アコム 150万円 金利18.0%」「プロミス 120万円 金利17.8%」といったように、借入先の会社名、現在の借入残高、そして金利を全て列挙しました。
この作業は、自分の愚かさや計画性のなさを数字として突きつけられる、非常に辛く、情けない時間でした。
しかし、敵の正体や規模を知らなければ、戦うことはできません。
全ての数字を書き出し、電卓で合計金額を計算したとき、初めて自分がどれほど深刻な状況に置かれているのかを客観的に理解できたのです。
自分の収入と支出を家計簿アプリで徹底的に可視化した方法
次に、自分の収支状況、つまり「お金の流れ」を把握するために、スマートフォンに家計簿アプリ「マネーフォワード ME」をインストールしました。
このアプリの優れている点は、給与が振り込まれる銀行口座や、公共料金などが引き落とされるクレジットカードを連携させるだけで、毎月の収入と支出を全て自動で記録し、グラフ化してくれることです。
これまでいかに自分がお金に無頓着で、無駄遣いを繰り返していたかを、残酷なまでに分かりやすい円グラフで突きつけられました。
特に、コンビニでの細かな出費や、競馬関連の有料情報サイトへの課金がいかに家計を圧迫していたかを知り、愕然としました。
この家計の「可視化」によって、どこを削れば返済のためのお金を生み出せるのかが明確になり、具体的な返済計画を立てるための土台ができたのです。
プライドを捨てて両親に正直に全てを打ち明けた夜の体験談
一人で抱え込むことの限界を痛感していた私は、週末、実家へ向かいました。
そして、両親の前で土下座をして、これまでの全てを正直に話しました。
書き出した借金の一覧が書かれたノートを見せ、ギャンブル依存症になってしまった経緯と、本気で人生をやり直したいという固い決意を伝えました。
もちろん、簡単には許してもらえませんでした。
しかし、涙ながらに謝罪し、今後の具体的な返済計画や専門家への相談を考えていることを必死に説明する私の姿を見て、最終的には父が「…今回だけだ」と、専門家への相談費用を援助してくれることになったのです。
この時、もしつまらないプライドが邪魔をして正直に話せていなかったら、私は間違いなく社会的に破滅していたでしょう。
助けを求めることは、決して恥ずかしいことではありません。
再生への最初の3ステップ
1. 現実の直視:全ての借金を書き出して総額を把握する。
2. 収支の可視化:家計簿アプリで自分のお金の流れを正確に知る。
3. 正直な告白:プライドを捨て、信頼できる人に助けを求める。
競馬の借金問題を解決する専門家への相談という重要な選択
自力での返済が極めて困難だと悟った私は、法律の専門家に助けを求めるという、人生で最も重要な決断をしました。
これは、借金地獄から抜け出すための最も効果的で、かつ確実な方法でした。
専門家への相談は、出口の見えない暗闇の中に差し込んだ、一筋の力強い光のようなものでした。
法テラスを利用して弁護士に無料で相談した時の体験談
両親に援助してもらった費用を握りしめ、私が最初に向かったのは「法テラス(日本司法支援センター)」の地方事務所でした。
法テラスは、公式サイトで確認できるように、収入や資産が一定の基準以下であるなどの条件を満たせば、無料で法律相談が受けられる国が設立した機関です。
事前に電話で予約を取り、指定された日時に事務所を訪れました。
緊張で震える私に対応してくれた弁護士の先生は、私の話を一切否定することなく、静かに、そして真剣に耳を傾けてくれました。
そして、私が作った借金の一覧表を見るなり、「大丈夫ですよ。あなたと同じような状況から立ち直った人は、私が担当しただけでも沢山います。法的な手続きで必ず解決できますから、安心してください」と力強く言ってくれたのです。
その一言で、私の心はどれだけ救われたか分かりません。
何年もの間、一人で抱え込んできた重荷が、少しだけ軽くなった瞬間でした。
債務整理という選択肢と私が任意整理を選んだ具体的な理由
弁護士の先生から提示された解決策は、「債務整理」という法的な手続きでした。
これには大きく分けて3つの方法があることを、分かりやすく教えてもらいました。
| 手続きの種類 | 内容の概要 | 主なメリット・デメリット |
| 自己破産 | 裁判所に支払不能を認めてもらい、借金の支払義務を免除してもらう手続き。 | メリット:借金がゼロになる。 デメリット:一定以上の価値がある財産(家、車など)を失う。官報に掲載される。 |
| 個人再生 | 裁判所の認可を得て、借金を大幅に(約5分の1~10分の1)減額し、3~5年で分割返済する手続き。 | メリット:借金を大幅に減らせる。住宅ローン特則を使えば家を残せる場合がある。 デメリット:手続きが複雑で費用が高い。官報に掲載される。 |
| 任意整理 | 裁判所を通さず、弁護士が貸金業者と直接交渉し、将来発生する利息をカットしてもらい、残った元本のみを3~5年で分割返済していく手続き。 | メリット:財産を失わない。特定の借金だけを選んで整理できる。官報に載らない。 デメリット:元本は減らない。 |
私は、両親への恩義もあり、時間はかかっても借りた元本だけは自分の力で返したいという思いが強かったため、「任意整理」を選択することに決めました。
どの手続きが最適かは個人の状況によって全く異なるため、必ず専門家と相談して決めることが重要です。
弁護士に依頼したことで督促が完全にストップした時の安堵感
弁護士の先生に正式に任意整理の手続きを依頼すると、先生はすぐに各消費者金融へ「受任通知」という書類を発送してくれました。
この通知が貸金業者に届いた瞬間から、法律(貸金業法第21条)によって、債務者本人への直接の取り立てや督促が一切禁止されるのです。
依頼した翌日から、あれほど鳴り止まなかった私のスマートフォンが、まるで嘘のように静かになりました。
これまで心臓を締め付けていた着信音の恐怖から解放された時の安堵感は、今でも忘れられません。
さらに、貸金業者との和解が成立するまでの数ヶ月間は、借金の返済も一時的にストップします。
この精神的な安らぎと時間的な猶予を得られただけでも、専門家に相談した価値は十分すぎるほどありました。
この期間に、私は生活を根本から立て直すための準備に集中することができたのです。
競馬をやめるために私が実践した物理的かつ精神的なアプローチ
借金問題の解決と並行して、最も重要で困難な課題、つまり根本的な原因である競馬、すなわちギャンブル依存症そのものと向き合う必要がありました。
借金を法的に整理しても、ギャンブルをやめられなければ、また同じことの繰り返しになるのは火を見るより明らかです。
ここでは、私が競馬と完全に決別するために、意志の力だけに頼らず実践した具体的な行動を紹介します。
JRAのネット投票会員を解約し競馬関連の情報を全て遮断
まず、物理的に競馬ができない環境を強制的に作りました。
日本中央競馬会(JRA)のインターネット投票サービスである「即PAT」の会員ページにログインし、解約手続きを行いました。
スマートフォンにインストールしていた「JRAアプリ」や「netkeiba.com」などの競馬関連アプリも全てアンインストール。
ブラウザのブックマークに登録していた競馬情報サイトも全て削除しました。
さらに、テレビの競馬中継も見ないと固く心に決め、レースが開催される土曜や日曜の午後は、図書館やジムに行く、あるいは近所を散歩するなど、意図的に競馬から意識を遠ざける生活を徹底して心がけました。
ギャンブルは「目に入れない、耳に入れない、触れない」ことが鉄則です。
給料の管理を親に任せて自分は小遣い制にするという決断
自分の意志の弱さを誰よりも自覚していた私は、お金の管理を自分で行うことをきっぱりとやめました。
給料が振り込まれる銀行口座のキャッシュカードと、持っていたクレジットカードを全て両親に預け、毎月3万円の現金を生活費としてお小遣いでもらう形にしたのです。
これは、成人した一人の人間として非常に屈辱的で情けないことでしたが、ギャンブル依存から抜け出すためには必要な荒療治でした。
手元に自由に使えるお金がなければ、馬券を買うことは物理的に不可能です。
この強制的な環境が、私の回復を大きく後押ししてくれたことは間違いありません。
ギャンブル依存症の自助グループであるGAへの参加体験談
弁護士の先生から、「借金の問題だけでなく、依存症そのもののケアも大切ですよ」と勧められ、勇気を出して「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」という自助グループのミーティングに初めて参加しました。
GAは、ギャンブルによって問題や苦しみを抱えた人たちが、匿名で集まり、お互いの経験を分かち合うことで回復を目指すグループです。
会場のドアを開けるまでは本当に怖かったですが、そこには私と同じようにギャンブルで人生をめちゃくちゃにしてしまった人たちが大勢いました。
年齢も職業も様々でしたが、皆が同じ苦しみを抱え、真剣に自分と向き合っていました。
ミーティングでは、自分の体験談を正直に話し、他のメンバーの話に静かに耳を傾けます。
そこでは誰からも責められたり、説教されたりすることはありません。
ただ共感し、励まし合うその空間は、社会から孤立していた私にとって、唯一の心の拠り所となりました。
任意整理後の返済生活と競馬のない日常を取り戻すまで
弁護士による数ヶ月間の交渉の結果、将来発生するはずだった利息が全額カットされ、500万円あった借金の元本を5年間、つまり60回払いで、月々約8万3千円ずつ返済していくという和解が全ての貸金業者と成立しました。
ここから、地道な返済生活と、ギャンブルのない新しい人生をゼロから築くための日々が始まりました。
節約生活を送りながら毎月の返済を続けた地道な日々の記録
返済計画がスタートしてからは、これまでの人生では考えられなかったほどの徹底した節約生活を送りました。
家計簿アプリで毎日の収支を確認し、無駄な出費を1円単位で削っていきました。
- 食費:自炊を徹底し、月2万円以内を目標にする(外食やコンビニ弁当はゼロ)。
- 交際費:会社の飲み会は全て断り、友人との付き合いも一時的に休止する。
- 通信費:大手キャリアから格安SIMに乗り換えて月々の支払いを大幅に削減。
- 娯楽費:お金のかからない趣味(図書館で本を読む、近所の公園を散歩するなど)に限定する。
決して楽な生活ではありませんでしたが、毎月決められた額をきちんと返済していくことで、通帳の残高はマイナスからプラスへと着実に変わっていきました。
それは、自分の人生を自分の手でコントロールし、取り戻しているという確かな実感を与えてくれ、大きな励みになりました。
地道な努力の積み重ねこそが、自信を取り戻す唯一の方法だと知りました。
競馬以外に熱中できる新しい趣味を見つけたことの重要性
ギャンブルに費やしていた膨大な時間と、有り余るエネルギーを何か別の生産的なことに使おうと考えました。
私が新しく始めたのは、ランニングです。
最初は家の周りを5分走るだけで息が切れていましたが、徐々に距離を伸ばし、半年後にはハーフマラソンの大会に出場するまでになりました。
苦しい練習を乗り越え、自分の足でゴールテープを切った時の達成感は、競馬の的中とは比べ物にならないほど、尊く、充実したものでした。
明確な目標に向かって努力し、その結果を心と体で実感するという健全な喜びを知ったことで、私の心はギャンブルの刹那的な刺激から徐々に解放されていきました。
失った信頼を少しずつ取り戻すための家族や友人への向き合い方
返済を一日も遅れることなく続け、競馬を完全に断ち、真面目に働く姿を見せることで、両親との関係は少しずつですが修復されていきました。
毎月の返済状況をきちんと報告し、援助してくれたことへの感謝の言葉を伝えることを常に意識しました。
離れていった友人たちにも、一人ひとりに手紙を書き、これまでの自分の愚かな行動を心から謝罪しました。
もちろん、すぐに許してはもらえませんでしたが、中には「お前が本気で頑張っているのは伝わっている。応援しているよ」と声をかけてくれる友人もいました。
失った信頼を取り戻すには、何倍もの時間と誠実な行動が必要です。
しかし、諦めずに誠実な行動を続けることで、その道は必ず開けると信じています。
競馬の借金地獄から完全に抜け出した現在の私の生活
5年間、60回という長い返済期間を終え、私はついに全ての借金を完済しました。
あの地獄のような日々から約7年。
今の私の生活は、かつてとは全く違う、穏やかで希望に満ちたものに変わっています。
借金完済の連絡を受けた日と手に入れた本当の自由についての話
最後の返済を終えた翌月、依頼していた弁護士事務所から「完済証明書」が同封された封筒が郵送されてきました。
その一枚の紙を手にした時、これまでの苦しかった日々の記憶が蘇り、自然と涙が溢れてきました。
もう何にも怯える必要はない。
誰にも頭を下げる必要はない。
これからは、自分の稼いだお金を、自分の未来のために自由に使える。
これこそが本当の「自由」なのだと、心の底から実感しました。
翌日、私は銀行へ向かい、生まれて初めて自分のための積立預金の口座を開設しました。
それは、私の新しい人生が、本当の意味で始まった証でした。
お金に対する価値観の変化と計画的な貯蓄ができるようになった現在
借金地獄という壮絶な経験をしたことで、私のお金に対する価値観は180度変わりました。
一攫千金を夢見るのではなく、毎日コツコツと働き、稼いだお金を大切に使うことの尊さを学びました。
今では収入の3割を貯蓄に回し、将来のためにiDeCo(個人型確定拠出年金)や積立NISAといった資産形成も始めています。
これらは、国が用意してくれた税金の優遇を受けながら、将来のためにコツコツと資産を育てていく制度です。
かつては1万円を馬券一枚に躊躇なく変えていた自分が、今では100円の無駄遣いにも慎重になっています。
この健全な金銭感覚こそが、私が地獄の日々から得た最大の教訓であり、一生の財産かもしれません。
競馬の借金で苦しむ人へ伝えたい私の体験談からのメッセージ
もしあなたが今、昔の私と同じように競馬の借金で出口のないトンネルの中にいると感じているなら、心から伝えたいことがあります。
それは、決して一人で抱え込まないでほしいということです。
そして、絶対に諦めないでほしいということです。
必ず解決策はあります。
専門家に相談し、正しいステップを踏めば、人生は何度でも、何歳からでもやり直せます。
時間はかかるかもしれませんが、行動を起こしたその日から、あなたの未来は確実に良い方向へ向かい始めます。
どうか、勇気を出して、その第一歩を踏み出してください。
競馬で借金地獄に陥らないために知っておくべき重要なこと
私のこの恥ずかしい体験談が、これから競馬を楽しみたいと考えている方や、現在楽しんでいる方にとっての警鐘となれば幸いです。
競馬は素晴らしいエンターテイメントですが、一歩付き合い方を間違えれば、人生を根こそぎ破壊する危険な側面も持っています。
そうならないために、心に刻んでおくべき重要なことがあります。
自分で決めた予算の範囲内で絶対に遊ぶという鉄のルールの設定
競馬を健全な娯楽として楽しむのであれば、絶対に守るべきなのが「予算管理」です。
給料日に「今月の競馬予算は1万円」と決めたら、その金額を専用の封筒に入れるなどして明確に区別し、その中でやりくりしてください。
そして、そのお金がなくなったら、その月はきっぱりと競馬をやめるのです。
「負けた分を取り返そう」と思った瞬間が、地獄への入り口です。
娯楽は、失っても自分の生活に全く影響のない余剰資金の範囲内で楽しむ。
この大原則を絶対に忘れないでください。
借金をしてまでギャンブルをすることの異常性を正しく認識すること
友人からお金を借りたり、ましてや消費者金融に手を出してまで馬券を買うという行為は、もはや娯楽の範疇を完全に超えています。
それは、ギャンブル依存症という治療が必要な「病気」のサインです。
もしあなたやあなたの周りの人がそのような状況にあるのなら、それは「熱くなっている」とか「運が悪い」のではなく、「病気」なのだと正しく認識する必要があります。
病気は、根性や意志の力だけでは治せません。
専門家による適切な治療やサポートが必要です。
少しでもおかしいと感じたら専門機関へ相談する勇気を持つこと
「最近、仕事中も競馬のことばかり考えてしまう」「決めた予算を簡単に超えてお金を使ってしまった」など、少しでも自分の状態がおかしいと感じたら、手遅れになる前に専門機関に相談してください。
全国の精神保健福祉センターや、依存症対策全国センターのウェブサイトでは、ギャンブル依存症に関する相談窓口を無料で探すことができます。
また、前述したGA(ギャンブラーズ・アノニマス)のような自助グループも全国各地にあります。
早期に相談することが、最悪の事態を避けるための最も有効な手段です。
「これくらい大丈夫」という油断が、人生を狂わせるのです。
競馬と健全に付き合うための3つの鉄則
1. 予算の厳守:失っても良いお金の範囲で楽しむ。
2. 借金は厳禁:借金してまでやるのは娯楽ではなく病気と認識する。
3. 早期相談:少しでも違和感を覚えたら、すぐに専門機関を頼る。
競馬の借金地獄体験談から学ぶ人生再建の具体的なステップの再確認
私の長い体験談をここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
これまでの話を元に、借金地獄から抜け出し、人生を再建するための具体的なステップを、最後に改めて確認しましょう。
この手順通りに行動すれば、あなたの今の苦しい状況も必ず好転させることができます。
ステップ1として借金と家計の現状を正確に把握することの徹底
全ての始まりは、厳しい現実を直視することです。
ノートやエクセルなどを使い、どこから、いくら、金利何パーセントで借りているのかを全て書き出してください。
同時に、家計簿アプリなどを活用して、毎月の収入と支出を正確に把握しましょう。
この客観的な数字が、あなたの今後の行動を決めるための唯一の羅針盤となります。
ステップ2として法律の専門家に相談し債務整理を検討すること
自力での返済が少しでも難しいと感じたら、一秒でも早く弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談してください。
法テラスなどを利用すれば、無料で相談することも可能です。
専門家はあなたの状況に合わせた最適な解決策(任意整理、個人再生、自己破産など)を提示してくれます。
督促が止まるだけでも、精神的に大きく楽になるはずです。
ステップ3としてギャンブル依存症の根本的な治療に取り組むこと
借金問題の解決と必ず並行して、根本原因であるギャンブル依存症の治療にも取り組みましょう。
物理的に競馬から距離を置き、自助グループ(GA)や専門の医療機関に繋がることが非常に重要です。
原因である蛇口を閉めない限り、借金という水漏れは何度でも繰り返されてしまいます。
- 現状把握:借金と家計の全体像を数字で正確に把握する。
- 専門家への相談:弁護士等に相談し、債務整理で借金問題を解決する。
- 依存症治療:自助グループや医療機関で、ギャンブル依存症そのものを治療する。
まとめ
この記事では、私が競馬で作った500万円の借金地獄から抜け出すまでのリアルな体験談と、そのために実行した具体的なステップについてお話ししました。
最後に、今まさに同じ苦しみの中にいるあなたへ、私が最も伝えたいことをまとめます。
競馬の借金地獄は正しい手順を踏めば必ず抜け出せるという事実
私がそうであったように、競馬による借金地獄は、決して終わりが見えない永遠のトンネルではありません。
正しい知識を身につけ、勇気を持って専門家を頼り、具体的な行動を起こせば、必ず光の差す出口にたどり着くことができます。
どうか一人で悩まないでください。
あなたを助けてくれる専門家や支援団体、そして心から心配してくれる家族がきっといます。
あなたの人生は、まだ決して終わっていません。
この記事があなたの人生を再スタートさせるきっかけになることへの願い
私のこの恥ずかしく、情けない体験談が、もし同じ苦しみの中にいるたった一人でも、その人の背中を押すことができたなら、これほど嬉しいことはありません。
この記事を読み終えたら、どうかスマートフォンを一旦置いて、まずは紙とペンを用意してください。
そして、あなたの借金の総額を書き出すという、再生への小さく、しかし偉大な第一歩を踏み出してみてください。
あなたの未来は、あなたの今日の行動にかかっています。
行動を起こすことでしか人生は変わらないという最終的な結論
どれだけ過去を後悔しても、どれだけ今の自分を嘆いても、残念ながら過去は一ミリも変わりません。
しかし、未来はこれから、あなたの手でいくらでも変えることができます。
そして、未来を変える力は、唯一「行動」の中にしか存在しません。
絶望の淵にいる今だからこそ、どんなに小さな一歩でもいい、とにかく行動を起こしてください。
その一歩が、あなたの人生を地獄から天国へと変える、最も価値のある偉大な一歩になることを、私自身の体験から保証します。
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